一緒に歩いていた幼い子が転んで膝を擦りむき泣いている時、「そんなことぐらいで泣かないの」と叱るのは、強い子であって欲しいと願う親心だと私も思っていた。
しかし「あぁ、びっくりした。痛いよ」という子供の氣持ちを、まず受け止めて安心させてやることは、甘やかすことではなく相手に対する思いやりだと最近読んだ本に書いてあった。
私は帰宅して「今日はだれたぁ(疲れた)」と嘆く母親に、「私だって疲れてるよ。
だったら早く寝ればいいじゃん」と言い返してしまうことがある。
母は誰かに話を聞いて欲しかっただけなのかもしれないと、自分の心無い対応を反省した。
職場の中でも家庭でも同じ様なことが多いと思う。苦しい、辛い、悲しい、不安だという相手の弱さや不満を受け止めるには、こちらの心に余裕がいる。
「私だって」という不満や、面倒なことは勘弁して欲しいという氣持ちを少し横に置いて、まずは目の前にいる相手の話を聞いてみよう。
それから感じたことを伝え合おう。
行き場の無い感情を受け止め合える関係をつくることが、人間を大切にする原点かもしれない。
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