平成16年全社講習会

200444日 三好町文化センター

桜が満開の三好町文化センターサンアートに正社員約500名が参加して開催された全社講習会で「平成16年度経営方針」が小笠原社長、伊藤専務から発表されました。

 反転攻勢の風を我々の力で吹かせる一年

 

  平成16年度経営基本方針


反転攻勢の風を我々の力で吹かせる一年

1..時代の流れと大きな方向を知ろう

 年度の経営基本方針は何のためにあるのでしょうか?

時代の大きな変化の中で企業が生き残り社員の生活を守っていくには、会社の存続と発展が不可欠です。そのために時代がどのように流れているのかを知り、私たちに今何が必要なのか、どう考え行動していくのかを方向づけるものが年度の基本方針です。

 そのことを基本に話をする全社講習会に形式的に参加し、大切なことを軽く聞き流し、やれと言われたことをやらずにやってはいけない事をやってしまい、会社を去らざるを得なかった人も過去にはいます。基本方針はいいかげんに作られたものではありませんし、公の場で私が話す事も会社が決めた事です。しっかりと聞き、よく考えてください。

 当社は減収減益が2年連続しています。不況が長引く中、経営を取り巻く環境は非常に厳しく、今後も急激な回復はあり得ない状態です。その中で、大宝運輸は平成16年度を反転攻勢の年にしていきます。「誰かがやってくれる」、「なんとかなるだろう」という他人依存ではなく、「自分たちがやる」ととらえてください。

 本日参加している約500名の方は、大宝運輸の社員として生活の中心を大宝に求め働いていると思います。大宝が沈没してしまったら、私も皆さんも“大宝の社員”ではなくなるのです。ものごとが変わる一番のもとは自分自身が変わることで、自分自身が変わるもとは考え方の一番もとを変えることです。自分の生活を守るためにも、社内や支店内で起きる問題を“自分事”としてとらえて真剣に考えてください。

 その時に一番大事なことは、自分自身や組織をできるだけ素直に見直すことです。

誰もが自分では「一所懸命やっている」と思っているのですが、それで良しとしていたら何も変わりません。一番のウソは「私は今まで一度も嘘をついたことがありません」ということです。人間はどこかで嘘を言いごまかしをしています。それが人間なのだと認め現在の自分の考え方、行いを素直に見直してみましょう。

.「働けない時代」を考える

⑴ 忘れてしまっている“働けることの有難さ”

 昭和30年以降、日本の経済は急激な発展の方向に進み、働く場所がどこにでもありました。ところが、10年くらい前から働きたくても働けない時代になってきました。健康で働ける時は「こんな仕事やってられない」、「不公平だ」と簡単に文句を言いますが、病気になったり職場を失って、働きたくても働けなくなった時の苦痛を想像してみてください。

⑵ 今一度、生涯設計を見直そう

 バブル経済の頃から「バブル(泡)は必ず消えていく。今は一定の収入があっても格好をつけたり見栄を張るな。住宅や乗用車などの大きな買い物をする時は、よく考え決して無理をするな」と言い続けてきました。

 社員の生活を守ると言うことは会社の大きな目標の一つです。しかし、この経済環境下で労働条件がすぐに良くなる見込みは残念ながらありません。自分の生活の仕方を真剣に見直し奥さんともよく話し合い、省けるものは省き節約しましょう。

. 世の中の怖さを知り、自分の身を守る

 高校や大学を卒業しても正社員として働く場所が無く、フリーターとして働いている人たちが日本中に約200万人いると言われています。将来に希望が持てない若者がたくさんいる時代です。また、毎日のように殺人事件や子供への虐待など嫌な事件が多発するなど、社会の秩序が大きく乱れています。今後、ますます治安が悪くなると思われます。

変なところで男気を出して見栄を張るのではなく、怖い世の中だと思い危険な場所には近づかないようにするなど、自分の身を守るための意識や考え方、行動を身につけましょう。

平成16年度経営基本方針 (社員手帳911ページ参照)

1. 約束事を徹底して守る

 日本の法律や会社で決められたこと。お客様との約束を守るということは、社会人として大人として組織人として当たり前のことです。当社はより高い倫理観を持った組織を目指し、約30年間にわたり社員教育に力を注いで来ました。実際に全般として社員の質が高いという一定の評価をいただいています。

 しかし、年度方針の第一項目にこれを掲げなければならないのは、当たり前のことが出来ないからです。それは年齢や肉体的には大人でも、人間ほど阿呆で強欲で小心な生き物はいないからです。

 1) “福の神”と“貧乏神”、あなたはどちら?

 人間には“福の神”タイプの人と“貧乏神”タイプの人がいます。それは生まれながらにもったものではなく、その人の考え方や行動によってきます。ここで不正の対象として挙げられるのは次の4点です。

人や公の金銭、商品、ものを盗む。ごまかす。

会社やお客様との約束事、契約を守らない。

皆さんは自らの意思で会社の考え方や方針を聞き、「社員として守ります」という約束を前提に入社したはずです。それを守らないのは契約違反です。

失敗をかくす。

万一、失敗をしても事実をはっきりと伝え、誠意をもって対応をすれば信頼の回復につながり“福の神”となれるのです。

能力の不足をかくす。

 あなたは時代が求め、会社が期待する能力を身につけていますか。例えば事務職員で与えられた業務をさも忙しそうに「やっているふり」をしていると、自信のないおどおどした顔になり“貧乏神”になっていきます

 日常の中で個人の責任を果たさず逃げてばかりいて、結果として何らかの責任を取らざるを得なくなった場合は、それまで自らの責任を放棄してきた事も含めて責任を取っていただきます。そうなった時は本人も悲しいと思いますが、言う方はもっと悲しいので、不正に対する姿勢を見直し、約束事を守ることで元気に“福の神”となり、反転攻勢につなげていきましょう。

 

2. 学ぶことをぬきにして企業の発展も個人の幸福も達成できない時代だということを分かり合う

(1) 精神の育成度を高めよう

 当社が「教育立社」を経営基本方針の根幹とし大切にし続けてきたのは、人間はみんな阿呆で強欲で小心なため、学ばなけれぱ“本当の人間”になることが出来ないからです。

“本当の人間”になるために一番大事なことは、精神の育成度を高めることです。肉体年齢が大人だからといって精神が大人とは限リません。全く別の問題なのです。よく事故やミスを起こす人は精神の育成度が低いと言えます。

 精神の育成度を構成する1つの要素として「知・情・意」があります。

正しい「知」とは、幅広い知識を持ち、それを使ってもの事を考えること。

強い「情」とは、相手に対する共感性です。よく「自分は情がある」と言いながら甘ったれや甘やかしと勘違いしている人もいますが、本当の「情」とは悲しい時や苦しい時でも、相手に立ち直る気持ちを起こさせたり本当に正しいことを教えることです。

〇安定した「意」とは、脳幹から発する意志を表わします。

・いつも文句ばかり言っている人は、知が足りない。

・無表情な人は、情が弱い。

・自分の都合が悪くなると「キレル」人は、意が安定していない。

 無表情でもともと下がっているはずの目がつり上がり、あごを突き出し、口をポカンと開けている人は精神の発育の不健全さを表わしています。

 実際に目をつり上げて力んでいた人が、何かのきっかけ(人との出会い、全社行事のりーダーを務める等)によって、やさしくて柔和な顔になることがあります。自分に欠けているものに気づき直そうとすると、肩の力が抜け本来のその人の顔に戻るのです。これは精神が安定し「いい状態」にある証拠です。嘘だと思ったら本杜営業推進本部の伊藤課長の顔を見てください。半年前までの目のつり上がりが直り、やさしい顔になっています。

 事故を無くし、いい仕事を行ない改善していくために「知・情・意」というものさしで自分自身の精神の育成度を量ってみてください。管理者や事務職員、安全委員、リーダーの人たちも自分を正しく知った分だけしか相手を理解し、指導することは出来ません。

真剣に考えてみてください。

(2) リーダーとしての特典は、学んで成長できる条件にあること。

 3年前の年度方針から「管理者・リーダーは3倍学ぶ」と掲げてきました。ところが実際にやっていないから、2期連続減収減益という結果に終わっています。管理者やリーダーとしての特典は、学ばざるを得ない立場にあり、学んだ分だけ人間として最も成長できる条件にあることです。

個人も組織もものが分からず生きていけるという単純な時代ではありません。学ぶこと(

もの事の原理原則を知り活かす。現象面だけでなくその本質や背景が分かるようになる)しか、生きてゆく道はないということを理解し、実践していきましょう。

. 柔軟で全体最適を可能にする組織づくリを強カに推進する

(1) 小さなことにこだわらず、柔軟性を高めよう

 「柔軟」と「軟弱」とは全然違います。柔軟とは竹のようにしっかりと張った根を持ち、強い力が加わるとしなって折れず、反発する力を持った「しなやかな強さ」です。一見強そうに見えても、本当のことを言うとすぐにポキンと折れてしまう人がたくさんいます。

このように柔軟さを阻害している要因は

〇小さなことにこだわリすぎる

小さなことも大切ですが、全体のことが分からずに「私はいっしょうけんめいやっている」「自支店はちゃんと出来ている」と、それだけにこだわっていると組織は硬直していきます。

 変化の激しい時代に全体最適を考えた場合、転勤もやむを得ません。自支店に愛着を持つのはいいことですが、それぞれの支店ではなく「大宝運輸」に入社したということも忘れないでください。小さなことにこだわり、大きな所で大きな損失を出しているかもしれません。

〇上下の関係にこだわる

 上司に対してものが言いにくいという理由で、「支店長がいかん」「事務職員がいかん」と陰で文句を言っている人がいますが、それではいつまでたっても良くはなりません。部下に対しても同じです。その人の人生にとって良くない事だと思ったら、厳しく叱らなければなりません。私も時には厳しい指導をしますが、その時は痛みがあっても結果として「良かった」と思っている人がたくさんいます。

 最近、港支店が良くなってきたと言われるのは、上司に対しても安全委員同士でも想ったことをオ一プンに言い合えるようになってきたからです。お互いに間違ったことを間違っているとも言えず、元も子も無くなってしまったら馬鹿馬鹿しいことです。自分たちの事なのですから、みんなの力で正しい方向に変えていきましょう。

(2) 現在の雇用条件にこだわらず、自分を磨く

現在、パートナー社員として働いている方がたくさんいます。能カが高くても正社員として雇用できないのは、外部条件が厳しい中で会社の力が無いからであり、申し訳なく思います。正社員で何年働いていても変化する努力も向上もない人は、高い人格と能力を持ったパートナー社員の人と替わってもらわなければなりません。これも組織の柔軟性を高めることの一つです。 

(3) 言葉の意味を分かり、大切にしよう

 自分が失敗したり人に迷惑をかけた時に「すみません」と言いますが、どういう意味か分かりますか? 「今のままでは済まない。過去の自分をよく反省し、間違ったことを正していく考え方や行動をします」ということです。それも分からず、その場を逃れるためだけに言葉を並べても仕方ありません。他の言葉も同じです。意味を分かった上で、何でも話し舎える組織風土をつくっていきましょう。 

4. 利益の向上と売上アツプのための体制づくリと、 技術力、折衝力などの質的な転換を図る

 私たちは国民の税金で作られた道路や橋を使わせていただき企業活動を行なっています。利益が出せず法人税として支払うことが出来なければ、存在することは企集エゴになってしまいます。また、一定の利益を確保できなければ借金の返済も出来ず、社会的信用は下落し金融機闘から見放されます。また一社員の労働条件を良くすることも出来ません。利益を出さなければ企業を存続させることは出来ないのです。

 世界の政治や経済が日本のそれらに影響し、様々な企業にも影響を及ぼします。そして、それは各家庭と個人にまで及びます。すべてがつながっているのです。全社員が自分事として、利益を出すことを真剣に考え具体的な行動をしていかなければ、社員の経済的、精神的な豊かさの追求はあり得ません。「自分には関係ない」ではなく「自分に関係することだ」と意識を変え、ムダ・ムリ・ムラを無くしてください。

5. 個人に合った指導が出来る体制と質を持った安全活動を実施し、目標件数以下に事故を減少させる

(1) 自分たちの力で『日本一』になろう。

 当社は約30年間安全活動を推進し、組織全体の考え方や運営の枠組みが出来る中で事故を減らしてきました。そこから更に事故を限りなくゼロに近づけていくためには、個人個人に合った指導が出来なければなリません。

 一見まじめな人が本当にそうなのかを見抜くためには、自分自身や人間に対する洞察力が必要です。管理者や安全委員が自分を深く知らなけれぱ人間の良さも悪さも分からず、人間を愛したり相手を深く知り指導することは出来ません。学び、もの事が分るようになることが不可決なのです。

 今年の安全活動の年間目標は、昨年度出来なかった「交通事散件以内、労災事故1件以内を達成すること」です。保有車両台数100台以上の運輸会社で年間事故件数を1%以下にすることが出来れば、おそらく日本一だと思います。我々には日本一と胸を張れるものがまだありません。自分たちの力で約6万社の同業者の中で日本一になり、同時に社員の安全と第三者の安全を守り、生活の安定につなげていきましよう。

(2) 分からないことは分かる人に聞こう

 年齢や性別・社歴・職種・立場に関係なく、自分が知らないことを知っている人は皆先生です。社内に私の先生はたくさんいます。金山支店の永作さんは私の古武術の先生です。時間があるときに色々なことを教わっています。

 分らないことがある時は分かる人に相談するのが一番です。「そんなことカッコ悪い」という人がいますが、聞くことも出来ず分からないままでいることのほうがカッコ悪いのです。

 最後になりましたが最近、若い人の中に真剣に学び成長する人が出てきました。

「よし、やってやるぞ」というやる気を感じます。「大宝はおもしろい」と思ったら、本気で力をつけみんなで守っていってください。

今年度に入リ若干の追い風も吹いています。期待しすぎてはいけませんが、決めたことを継続してやり切り、反転攻勢の一年にしていきましょう。

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