指先が少し冷たく感じる雨の中、一日の業務お疲れ様でした。
私は今日、危険物管理者講習を受けてきました。安全に仕事を行なうために大切なことなのですが、やらされ感が残る時間でした。
会社の中で「管理」と名のつく仕事は色々あります。そして、多くの人が自分は管理される側だと思っているのですが、今回のテーマである「自分を活かす管理」とは、管理する側の都合だけでなく、管理する側もされる側も人間として成長し、幸せになれる条件があることです。
また、その主人公は「自分」です。何かをやる時に、やらされてではなく「よし、やってやろう」という自分の意志が不可欠です。
では、どうすれば、そう思える管理ができるのでしょうか。
管理とは目標に向かって、それを達成してゆくための手順や計画を立て、それが実行できているかどうか確かめるための方法です。
左の図は「管理のサイクル」と言います。
業務、安全活動、運動会、それぞれに目標があり、それを達成するための計画(Plan)→実行(Do)→検証・反省(See)を繰り返しています。
「やらされている」と感じる場合、自分以外の人が立てた計画で「これをやりなさい」「ここを直しなさい」と一方的に指示されたことをやるだけの場合が多いのです。
大宝のおもしろさは、自分たちで互いに管理ができるよう学ぶ機会、チャレンジする場があることです。
最初に「なぜ、やるのか」(経営理念)「何をやるのか」(経営基本方針)に沿って、「どうやってやるか」を自分たちで考え、話し合い、実行し、結果を反省し、またやってみるというように、管理のサイクルに参画する中で、色々なことを考え、日頃接点のない人たちとも力を合わせることができるから、大変だけれどもおもしろいと感じる人が多いのです。
そういったチャンスを活かすためには、学ぶことが大事です。
人の心は変化します。やる氣があり自分と相手のために前向きに努力できる時もあれば、被害者意識でイヤイヤ取り組み、失敗してまわりの人に迷惑をかけ、ますます嫌になることもあります。
少しでもお互いを活かす方向に力を出し合うために、弱点を認め励まし合いながら、楽しく学び実践してゆきましょう。
自分を活かし、人に役立つことができる自分をつくる
自分を活かす管理とは、自己啓発をすること、つまり今まで知らなかったことを知り、分かり、できることを増やすなど、自分自身を向上させるために努力することです。
戦前は「滅私奉公=公のために私心をなくす」という考え方がありました。
徴兵され軍隊に入る時も入ってからも、自分の意志は関係なく、文句を言うことも許されませんでした。
しかし今は、無理やり滅私奉公を社員に強要したら、社員が離れていってしまい会社は潰れてしまう時代です。
かと言って社員が自分勝手なことばかりしていても会社は潰れます。
「活私奉公=自分を活かすことによって、公に役立つ」ことが大切であり、そのためには自己啓発が必要です。
例えば運動会を行なうことに対しても賛否両論があります。
今回、実行委員長・副実行委員長を受けた、今井さんと藤目さんも、入社した頃は何の為に運動会を行なうのかも分からず、文句を言っていたと思います。
しかし、少し勉強してもの事が分かってくると、目先は時間やお金、エネルギーなど出すことの方が多い運動会が、自分たちにとって意味あるものだと思えてきます。だからこそ責任ある役割を引き受け、みんなに喜んでもらえる運動会にしたいと、自分を活かしながら、楽しみながら努力してくれるのです。
会社のために自分を殺して奉公する必要はありません。
自分を活かすことを前提に色々なことを経験し、努力することで、社会で通用する人間になってください。
社員が人間として変化成長し、その結果として会社の発展につながるのです。
そういう人の数が増えることが大切です。
自分を活かす管理とは
「経営」がテーマの時に、経営資源(7M=人、もの、金、時間、空間、情報、方法)を活かし切ることが経営だとお話しました。
活私奉公(自分を活かす管理)もまた、自分が持っている経営資源を活かすことです。当てはめて考えてみましょう。
「人」はすべての基本となる一番大事な資源です。
人間は肉体と精神から成り立っています。そして私たちは日頃、肉体を維持するために食べることは忘れません。
では精神を養うために本を読むなどして、どれぐらい頭に栄養を与えているか考えてみて下さい。
「もの」もいっぱい持っています。肝心なのはその活かし方です。
江戸時代に※蘭学を学ぼうと思うと、長崎の出島まで歩いて行き、本を持っている人にお願いして許しを得て写させてもらい勉強しました。
今は車という便利なものがあります。それを何のために使っていますか?
また、先程の話の続きになりますが、自分の肉体を維持する為に年間にいくら「金」を使い、精神に栄養を与えるためにいくら使っていますか?
「忙しくて本を読む時間がない」という人がいますが、一日に15分でも継続すれば、まとまった時間になります。
活私奉公のために「時間」は大事です。本を読んだり文章を書く場所=「空間」は、その氣になればどこにでもあります。
テレビやパソコン、携帯など「情報」を得るための道具もいっぱいあります。
「方法」は、多少勉強をしないと、何をすればいいか分かりません。
力がつくのは、以上のことを考え実際に努力する人間だけです。
「やる」か「やらないか」が重要なのです。
活動の意味を知り、互いの質を高めよう
このように個人として管理すべきことが分かると、その延長線上で組織として何をしなければならないかが見えてきます。
例えば社員がケガをせず仕事を行ない、事故無く運転をするための安全管理は人を大事にする基本です。
また、会社のものを大事にできる人間を育てることも大切です。
倉庫内のエレベーターにフォークリフトでぶつけた傷があっても、誰がやったか分からないというのは、まともな組織ではありません。
公のお金の管理、支店の売上、利益に氣を遣うのも、お金を大切にすることです。業務の効率を考え改善することは時間を活かすこと、整理整頓することは空間を活かすことです。
また、人は情報によって考え行動するので、コミュニケーションを良くすることが重要です。
意思疎通がうまくいかない組織は、そこで何が起きているのか分からないので対応も悪く、ますます関係が悪くなります。
また一定の年齢や立場にある人は、おもしろい話ができなければいけません。
組織を束ね一定の方向に進めていくには、自分が考えていることを、相手が分かるように話をしなければならないからです。
会話は物語で成り立っています。いつもじっと待っているばかりでなく、自分から発信することが大切です。それには大きなエネルギーが要ります。
自分から馬鹿話をできる人は立派です。馬鹿話の中に人間の生き方やものごとの見方・考え方が織り込まれると笑いながら学べます。
まじめそうな顔は誰でもできますが、馬鹿話や一見馬鹿なことは、なかなかできません。
安全や業務の品質について、いつも同じ事で叱られ、指導を受けている場合、主に人間同士の関係に問題があります。
安全と品質の向上のためには、物理的・人的な環境が重要だと分かれば、自分たちのどこに問題があり、どうすれば改善できるかが出てきます。
リーダーの大事な役割は、一緒に働く人たちが少しでも楽しく働けるようにすることです。
最初に鈴木塾生も話しましたが、個人を活かすためには管理のサイクルに沿った実践が必要です。
自分が変化成長したいと思ったら、そのための目標と自分の計画を作らねばなりません。
そういうことを考え、実践し続けることで、自分を活かしながら、みんなのために役立つことができる力をつけていってください。
※蘭学とは、江戸時代中期以後、オランダ語(の本)を通じて日本に入った、西洋の学問
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