すぽっと らいと   5月

 

前に 戻る

知っているようで知らない、言葉の意味について考えよう


 ここ数年、正しい敬語の使い方や、間違えやすい言葉の意味など、「ことば」に関する本がたくさん出版されています。日頃、何気なく使っている言葉も、「それは、どういう意味?」と尋ねられると、困ってしまいます。 私たちは言葉をもとに考えます。なんとなく知っているつもり、分かっているつもり、では具体的に考え答えを導き出すことはできません。一つひとつの言葉の意味を知ることが、論理的に考えることにつながります。そこで、言葉の意味について考えてみましょう。

 教育部 門田真理子


違いがわかる、大宝語録?

 言葉の意味を知るために、国語辞典を開きます。すると、書いてある説明の意味が分からず、その言葉を調べる。またその意味が分からず・・・。それを続けてゆくと、最終的に「○○の意」と、最初の言葉に戻ってしまったという経験はありませんか?

  そんな言葉の言い換えを極力無くした国語辞典もありますが、もっと簡潔で分かりやすい解説をして下さるのが、伊藤塾長(専務)です。

それまで同じような意味で使っていた言葉も、その解説をお聞きした瞬間、その違いが頭の中にイメージとして浮かび、「あー、そうか!」と、思わず感動します。そして、その喜びは、言葉に対する興味へとつながります。そのいくつかを、体験談を交えご紹介します。

目的と目標

  「目的」の方が、「目標」よりも大きなもの、というイメージを持っていました。そこで教わったのが、「目的は終着駅、目標は通過駅」というシンプルな説明。 「あー、そうか」と、妙に納得しました。

平等と公平

  自分だけが叱られたり、大変な目にあうと、「そんなの不公平だぁ」と、叫びたくなりますが、何が平等で、何が公平なのでしょうか?

 国語辞典[三省堂 新明解 国語辞典]では、

・ 平等 とは、その社会を構成する、すべての人を差別なく待遇すること。

・ 公平 とは、〔問題になっているものを〕自分の好みや情実などで特別扱いすることが無く、すべて同じように扱うこと。 とあります。

中には「平等」を引 くと「公平のこと」、「公平」を引くと「平等のこと」という辞書もあります。???

  そこで教わったのが、「チャンスは平等。結果は公平」「平等は入り口。公平は出口」という説明です。

これはまさに大宝の経営基本方針の中の「教育立社」「門戸開放」にあたります。学ぶ場と機会は、すべての社員に与えられています。(=平等)そして、実際に学び努力を継続し、人格・能力を身につけた時、それにふさわしいチャンスが与えられます。(=公平

  最終的に、努力してもしなくても結果が同じ、というのは不公平なのですね。

 

※小学校の時、クラスに公平君という男の子がいました。ちょっぴり太めの公平君。習字の時間に名前の「公」の字を、のびのびと書きすぎたため、「ハム平」と呼ばれるよになってしまいました。お父さん、お母さん、公平君、ごめんなさい。

 

頑固と迷妄

  「よく、人から頑固だと言われる」と、ちょっぴり自慢げに話す人がいます。

でも、それって本当に頑固?

この後の説明を聞くと、ちょっと自慢できなくなるかもしれません。

  はじめに国語辞典で、よく用いる意味を調べると

・ 頑固(がんこ) とは、周囲の反対にかかわらず、どこまでも自分の主張を貫き通す様子。

・ 迷妄(めいもう) とは、物事の道理を知らないために持つ、まちがった考え。心の迷い。

 

 現象面は似ていても、大事なことは、そのもとの考えが、一般的に言って正しいかどうかです。

「頑固とは、言っていること、やっていることは正しくて、時代の流れには合わなくても、損得抜きで通し続けること」

「迷妄とは、多くの人がそれはおかしいと言っているのに、本人だけが正しいと言い張っていること」。

 そう考えると、「頑固」という言葉を気安く使えなくなりますね。

意味も分からず、無意識に使っていると、相手に対する「善の悪」(=一見親切そうで、実は本人のためにならないこと)になってしまいます。

自分の 間違いを認めず、「俺は頑固だから」と開き直る人がいたら、「それは迷妄だよ」と教えてあげましょう。

 

※ 頑固親父のラーメン屋は、時々見かけます。客商売なのに無愛想な店主。でも味はおいしくて、行列してでも食べてみたいというお店のことです。

では、「迷妄親父」が作るラーメンを、食べてみたいですか?

 

自由とは?

 人から指示をされると、「もっと自由にやりたい」と言い、実際に任されると、単なる自分勝手に終わりまとまらない、ということがあります。

 そんな「自由」に関して、私がこれまでに聞いた話の中で、「なるほど!」と思ったのが、次の説明です。

  英語で「自由」を表す単語は二種類あります。

・ freedom(フリーダム)

・ liberty(リバティ)

  フリーダムは、肉体的・精神的に束縛するものから解放されることを意味し、リバティの方は、創造する自由を表しています。

 単なる自分勝手ではなく、主体性を持った自由を獲得してゆくためには、自ら学び、考え、判断し、実行し、責任をとる、ということが分かり、行動できる個人、組織になることが前提なのです。

本音(ほんね)は正しい?

  個人面談やグループ会議を終え、「今日はお互いに本音が言えた」、と満足することはありませんか?

・ 本音 とは、口に出しては言わない(言うことがはばかられる)本心

会議の目的が、「まずは、お互い が思っていることを出そう」ということならば、それもいいのですが、「本音=正しい」とは限りません。

口に出して言わない、言えないという時、自分の都合が大半を占めている場合が多いのです。


HOME  前に 戻る