平成20年全社講習会

2008年4月13日 三好町文化センター

4月13日、三好町文化センター サンアート大ホールで開催された全社講習会で「平成20年度経営基本方針」が小笠原社長、伊藤専務から発表されました。

学び人間らしく働ける力をつけ、夢と希望を創り出そう

 

小笠原社長のお話

    国際的な金融不安に加え原油価格や鉄鉱石の高騰、食品などの相次ぐ値上がりにより個人消費が低迷し、経済環境はますます厳しくなっています。

我々物流業界においても格差が生まれ、生き残りをかけた厳しい競争が続いています。

昨年度、残念ながら売上は伸びませんでしたが、車輌の代替が少なかったことと、皆さんの努力により効率化を図ることで利益を生み出すことができました。 

 今年度、厳しい時代に打ち勝ち自分たちの生活を守ってゆくため、事故を無くしお客様に提供するサービスの質を向上させてゆく努力を、全社を上げて行なってゆきましょう。


伊藤専務のお話

 先日、車輌部と港支店の人たちが、運動会の時に作った「日本一大きなケン玉」に関してテレビ局の取材を受けました。

家で一緒に番組を見ていた娘が、「おもしろい会社だね」と笑っていました。

 今は毎日どこかで殺人事件が起きる殺伐とした時代です。

景気の悪化と共に治安もますます悪くなっています。そんな世の中で大宝で大きな事件や不正がないのは、皆の努力でマイナスの方向に行くのを食い止めているからです。

1. 自分たちが生きている時代を知 り、人間らしく生き残る道を進もう

 世の中は行き過ぎた市場主義が人間を苦しめています。飽くなき金儲けの追求を行ない、金儲けのためなら何でもする。金をたくさん儲けた者が成功者という価値観の中、国同士も戦いを行なっています。

19世紀末から20世紀初めにかけて世界は帝国主義の時代でした。自国の富(市場、資源)の拡大のため他国を武力で制圧し植民地にしました。

現代は金融帝国主義 = お金を上手く運用することによって、他国を植民地化するという時代です。博打場のような世界に、日本という国も大宝も存在しているのです。

 市場主義経済の世の中では目先の快楽、自分のエゴ、利益を徹底して追求し、本来商品ではない金や人間までもが商品になってゆきます。強い者だけが生き残り栄える「強存強栄」の世の中で、色々な格差が生まれ大きくなっています。現在の日本の労働人口約6300万人の中で、年収何十億、何百億という人がいる一方、2000万人以上の人が年収200万円以下と言われています。

 我々は業種や企業規模から考えても「強存強栄」とは逆の立場にいます。物流業界そのものが産業構造上は弱い立場に存在するのです。それだけで考えると夢も希望もありません。こういった時代の大きな流れを知り、少しでも人間らしく働き、企業として生き残ることが出来るよう、真剣に考えてゆきましょう。

1. 会社を存続させ社員の生活を守ってゆくための絶対条件

@運賃などの料金を上げる

A徹底したコストダウンを図る

B品質を向上させ売上を拡大する

 この条件を可能にするのは全社員の努力です。

会社が支払うコストの中で最もムダな3事故を無くす努力を本氣で行なうこと。そして、学んで人間としての質を上げ、結果として生み出すサービスの質を高めてゆくしかありません。

2. なるべくおもしろく働ける楽しい職場をつくるための努力

@経営者、管理者、事務職員、安全委員、リーダーが、最低限自分の役割と責任を果たす

 今年度、すでに交通事故、労災事故ともに一件を起こしています。いずれもやるべきことをやっていれば起きなかった事故です。皆がそのことをまじめに考え、事故を起こす前に「危ない、おかしい」と氣づいたら、すぐに指摘、指導をして下さい。見て見ぬふりをして事故が起きれば、多くの人に迷惑をかけます。お互いに嫌な思いをし、職場の雰囲氣も暗くなります。自分と相手のために勇氣を持って実践して下さい。

Aお互いに想いやりを持つ

 第24回文化祭のテーマでもあった「想いやり」とは、「自分と相手を知り、認め合える条件をつくる」「自分以外の人を支援、応援する氣持ちを持つ」「それを自分の言葉と具体的な行動で表現する勇氣」です。これらのことを意識し取り組んでいる支店は、仲間同士の関係が良くなり、支店が明るくなっています。一人ひとりの努力と皆の協力でつくり出してゆきましょう。

2. 2008年度経営基本方針より

1.「自由、創造、共感」を個人、組織の中に拡大するため本氣になって学ぶ 

(1)より自由になるための努力

 世の中に完全な自由はあり得ませんが、自由がなければ人間らしく生きることは出来ません。かつての奴隷制度は人間が金で買われ鎖で繋がれ、生命を維持するための最低限の食糧のみを与えられ使役(労働)にあたりました。そこに自由はありません。現在、我々は自分の意志で入社し働き生活の糧を得ています。鎖で繋がれている訳ではないのですが、学ばずものを考えず、最低限の業務を文句を言いながらやっているだけでは自由はありません。

 自分自身をより自由にし、人間らしく生きるためには努力が必要です。それは大宝の社員として必要な就業規則、安全活動三つの意義、社員七則などを知り分かって実践する努力と、学んでもの事の分かる次元を上げる努力です。それが身についた時、本当のやる氣が湧いてきます。

(2)人間として最もすばらしい権利は「つくる」こと

人間には3つの権利があります。

@得る権利A守る権利B創る権利。

その中でも最も人間らしいものが、「つくる」権利です。私は色々な場でみんなが働きやすい職場をつくるにはどうしたらいいか、よく考えてくれとお願いしています。人間は考えないと変化成長しません。そして、変化成長しなければ、人間としての幸せはありません。

(3)自分と相手を知った分だけ共感が生まれる

 誰もが生きて働いてゆくうえで、苦しいことや悲しいこと、嫌なことはいっぱいあります。その中で人間らしく働きおもしろいと思える会社にしてゆくためには、職場の人間関係が重要です。相手の背景(家族構成や育った環境など)や本質(考え方、価値観など)を知り理解出来るようにならないと、信頼関係は生まれません。自分のエゴに氣づき、相手のことをより深く知った分だけ共感の氣持ちが湧いてきます。共感が大きく深まると愛情につながります。

(4)言葉が自分を表している

 私たちは日頃、言葉によってコミュニケーションをとっていますが、言葉といっても3段階あります。

@知っている言葉

A頭の中で分かっている言葉

B身についている言葉

 一昨日、中部トラック総合研修センターで開催されているセミナーで講義をした時、同業者である受講生に「挨拶」の意味を尋ねました。「朝はおはようございます」という答えは幼稚園のレベルです。「挨=相手に近づく、拶=心を開く」という本来の意味が分からなければ、まともな挨拶をすることは出来ません。

 私たちはたとえ無意識であっても、発している言葉によって、自分の精神年齢やものの分かる次元を表現しています。日頃、自分たちが使っている言葉が@からBのどれなのかを考えてみて下さい。@だけで会話をしていても何も生まれません。

2. 成長を阻害している条件を洗い出し、改善する

 どんな組織(家庭、学校、会社、国など)も問題と矛盾、阻害要因の山です。それを解決してゆくためには、隠さずオープンにする(顕在化する)ことが必要です。逆に潜在化してしまう(隠れてしまう)要因は次の三つです。

@能力が低いため、何が問題なのかが分からない

A自己保身のためごまかす

B臆病で志がないため、見て見ぬふりをする

C怠惰、横着、強欲、嫉妬のため、意図して不正を行なう

 問題が隠れてしまうと解決の方向には進みません。愚痴や文句として言うだけでなく、解決してゆくための提案を、どんどん出して話し合って下さい。

3. 基本的計数分析、管理をさらに浸透させ活用し、ムダ、ムリ、ムラを徹底して排除する

 売上・利益、事故件数、営業成績など出てくる数字は「結果」です。分析し計数化することが大切です。管理には「進捗管理」と「結果管理」の二つがあります。結果の管理も大切ですが、結果が出てからでは遅く、もの事が進んでいる中で現状を把握し、問題点を見つけ出し対応してゆく「進捗管理」が重要です。

 商品事故を本氣でなくしてゆこうと思ったら、一件起きた時すぐに、どんな商品事故が起きたのか、問題点は何か、同じ事故を防ぐための具体的な対策を、全員が分かるように発信することが必要です。そういったことを実践すると効率が上がり品質が良くなります。会社はみなさんの生活を守るため色々なことに取り組んでいます。自分たちが生き残ってゆく条件をつくるため、管理者から指示があったこと、指導されたことは、素直に聞いて実践して下さい。

4. 売上増加の条件をみんなの力で作り出す

 売上増加は全社員の総合力の結果です。仕事の拡大は営業推進本部や管理者だけの責任ではなく、全社員が前向きな氣持ちで仕事に取り組み、自分の役割と責任を果たすことが前提条件なのです。

 愛知県は自動車産業が好調なこともあり人員の確保が困難になっています。定着性を良くしてゆくもとは職場の人間関係にあります。退職理由の一番は人間関係が上手く行かないことだからです。大宝の中で定着の良い支店は先輩社員の面倒見が良く、想いやりを持って仲間に接し、きめ細かい指導を行なってくれています。社員が定着しなければ、売上の拡大を図ることは出来ません。自分たちの労働条件を向上させてゆくために全社員で取り組んで下さい。

 また、お客様のご要望に迅速にお応えしてゆくため、日常の接点の中でいただいた情報、クレームなどは、 自分だけで止めず早く上司に伝えて下さい。遠回しにおっしゃる場合もあるので、受け取る側の感性が必要です。社員から聞いた上司はそのままにせずすぐに対応して下さい。

5. もっと柔軟な組織運営を築いていく

 20年以上前は営業所(現在の支店)が違うと社員同士が敵対していました。その後、勉強会や全社イベント、業務上の協力、ブロック制導入などによる社員同士の交流が増え、支店間の垣根は低くなっています。

会社が世の中の変化に対応してゆくためには、組織の柔軟性がとても大切です。なぜならば経営は変化対応業だからです。時代の変化、世の中の変化、お客様の変化に柔軟に対応できる状況を、事前につくってゆける個人、企業だけが生き残ってゆきます。生物も地球の変化に対応できないものから死滅してゆきました。個人も会社も同じです。「私はこれしかできない」と言っていると、自分の居場所がなくなってしまいます。

 15年以上前から「一人二役、三役の業務が出来るようになってくれ」とお願いしてきました。それも柔軟性です。この講習会に自分の意志で参加してくれているパートナー社員の方がみえます。それが出来るのは、その人たちが柔軟である証拠です。以前からお話していますが、大宝には職種や雇用条件に関係なく、人間としておもしろい人がたくさんいます。その人たちの能力、やる氣を活かした柔軟な組織運営を行なうことが重要です。

 私たちはお互いに隣にいる人を知っているつもりですが、表面上だけの場合がほとんどです。もっと深く自分を知り、相手の背景などを知ることで相互理解が深まり楽しくなり、信頼関係が生まれてきます。また、共感性がなければ、自分に火の粉がかからなければ全て他人事になります。他支店で起きた事故を自支店のこととして考え、他人の不幸や悲しみを自分に置き換えて考えるためには、共感性と優しさが必要です。

6. 1万稼働に1回の交通事故発生率を、緻密な安全活動でゼロに近づける

 ここ数年の年間交通事故件数は約12件です。全社の月間稼働台数が約1万台ですので、事故は1万分の1の確率で起きていることになります。事故を起こした人は、自分はよほどものが分かっていないと思って下さい。

これまで約30年かけて、事故を無くしてゆくための大きな枠組み(考え方)を浸透させてゆくことで、ここまで事故を減らしてきました。ここからさらに事故を限りなくゼロに近づけてゆくためには、日常の個人に対する指導をどこまで徹底できるかにかかっています。

 「ベテランだから大丈夫」と本人もまわりの人も簡単に言ってしまいますが、年齢や社歴に関係なく、学ばない人は自己中心でもの事のつながりが分からないため、事故を起こす確率が高いのです。支店での事故防止の鍵を握るのは、小グループ活動です。管理者、安全委員はもちろん、グループリーダーの皆さんも、メンバーの背景や本質を知り、今までよりも2倍の個々に対する働き掛けを行なって下さい。それが事故を半減させる道です。

 大宝には皆でこれまで培ってきたベースがありますので、多くの人がその氣になって学び実践すれば、この目標も達成可能です。

お互いの命と生活を守るため、真剣に楽しみながら取り組んでゆきましょう。


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