すぽっと らいと 7月

夢志記

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子を想うなら

三好 友隆 


 「銀も金も玉もなにせむに優れる宝子にしかめやも」〈万葉集〉

(白銀も黄金も宝玉も、そんなもの何になるだろうか。子どもに及ぶべくもない)

ここに描かれているように、今も昔も子を想う親の心は変わらない。私も昨年末父親になった。確かにそうだとも思うが、この宝は一筋縄ではいかない。

 視野の狭い親がズレた考えを押しつければ、柔らかく可能性のある子どもの心と頭の中を歪めてしまうだろう。子どもの頃は年齢を重ねれば大人になれると思っていた。

 30歳になった今、確かに知識や経験は増えたが、やっていることのモトになる精神は幼い頃と変わっていない。自己都合を押し出し、「してもらうことが当たり前」と相手に求め、そのうえ周りには迷惑をかけていない、嫌われたくないとさらに求める自分の阿呆さを知ることなく生きてきた。

 子どもは時間の経過とともに成長し、昨日まで出来なかったことが出来るようになってゆく。それに比べて自分はどうか。

子どもの幸せを願うなら、少しでももの事が分かる努力が必要だ。

 そして、わが子を想うように、他の人をいつくしみ想えるようになりたい。    


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