1.自分のガラを落とす
長い間航海を続けた船は、船底に貝殻が付き速度が遅くなるので、時々付いた貝殻を落とさなければなりません。人間も誰もが何らかのガラ(自分の心についたクズの様なもの)を引きずって生きています。
大抵は悲しい事や人に言いたくない事なので、出来れば隠しておきたいと思います。特に男性の場合、子供の頃にいじめられたと言うのは、かっこ悪いと思ってしまうのですが、大した事がなければ、言った方がいいと思います。
変に氣にしていると、大人になりきれないからです。
二十歳を過ぎたらいつまでも他人のせいにして過去を引きずるのではなく、見つめ直し乗り越えていくことが必要です。
人間は皆、心の傷を持っています。そして、誰もが人の心に傷をつけています。そのことがお互いに分かり合えると、自分だけいい恰好しようとか、よく見てもらおうと、見栄を張らなくても良くなります。見栄を張るのもエネルギーが要りますし、それで身に付くものはほとんどありません。自分自身を素直に出してみることで、自分の傷を認め、逃げたりフタをせず、乗り越えるきっかけになります。そうやって自分の考え方と勇気で乗り越えた時、大人としての本当の自分の人生が始まります。
2.根っ子が無いとまともに生きられない世の中
人間の根っ子とは、その人の「ものの見方、考え方」のことであり、もの事が分かる度合を表わします。
現在、多重債務者(借金で何ともならない状況に陥っている人)が、推定で250〜300万人と言われています。名古屋の人口が約200万人ですから、異常な数です。金に追われ逃げ回っている時は、たった1万円を手に入れるために、人を殺めることがあります。そういう人は「根っ子」の無い人です。
これから社会はもっと悪くなります。
また、市場主義経済の怖さは消費者に出来るだけ根っ子を作らせないようにすることです。その方が儲かる人たちがいるのです。
人間の欲望を刺激するコマーシャルや、目先の快楽だけを刺激する番組もその1つです。根っ子の無い人は、知らないうちに流されて、食い物にされてしまうのです。大宝では約30年間、もの事が分かるようになるために勉強会を行なっています。これは社員の人たちが、時代の変化に対応し少しでも幸せに生きてゆくためです。
3.根っ子の作り方
根っ子が無くて育つ植物はありません。
世界遺産に指定されている屋久島の屋久杉も、すばらしい根っ子から栄養分を吸収し、何千年も生き続けています。
では、その根っ子をつくるために、何が必要なのでしょうか?
@計算力と知識と表現力
立派な根っ子を作ろうと思うと、幅広い知識を身につける努力が必要です。多くの人が学校を卒業すると勉強や本を読む事を拒絶しますが、そこからの人生の方が長いのですから、社会の中で人生をまっとうに生きようと思うと、勉強が必要です。年齢×10冊を目標に本を読む事を楽しんだり、人前で話をしたり、文章を書く力をつけましょう。
A社会の法律や組織の決め事、ルールを分かって守り、それを活用できる力
B世の中の変化に敏感に対応する
時代は速く変化しています。ITの分野で発想だけで何億も稼ぐ人を羨むだけでなく、出来ることをやり自分の人生を作り、仕事の中でも活かす力を身につけましょう。
C情と論理が分かる
もの事の筋(論理)を通すことは大事です。しかし、人間は単純なものではありませんので、社会は理屈だけでは通りません。「自分は正いい」とエゴで主張するのではなく、相手の立場や喜び、悲しみ、苦しみが分かり、出来るだけ無用なケンカや争いはやめましょう。
D愚痴、悪口、他人の足を引っ張らない人柄の良さ
E自分自身のことを真面目に考え分かる努力と、自分の人生の設計をする力 この一年で大きく変化した人がたくさんいます。その人たちは得た材料を元に、自分で考え「目ざめ」を深め「氣づき」にした人たちです。
これらを総合して考え、もの事が分かってくる分だけ、立派な根っ子が出来てきて、色々なものが見えてきます。そうすると顔つきが変化してきます。逆にいつも上っ面でごまかし、中身の無い言葉だけを発していても何も変化しません。風に吹かれて転がっているだけの「紙クズの人生」ではなく、自分の根っこを作り、自分の意と責任で、納得できる面白い人生をつくってゆきましょう。
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