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心を磨くマナーを身につけよう

Fグループ

情報システム室 K M さん 

 学生時代は遊ぶこととアルバイトのことしか考えていなかった。行き当たりばったりの生活をしながら、自分はやるべきことをやっている。誰にも迷惑はかけていないと思っていた。そんな時、親から不都合なことを言われると、ケンカをして口を利かないなど、好き勝手しながら、何かあったら親は助けてくれると考えていた。

 今年の4月に入社し請求業務を行なっている。バカだと思われるのが嫌で賢そうなふりをして、分かってもいないのに「はい、分かりました。そういうことですね」と嘘をつき、他人の顔色ばかり氣にしてキョロキョロしていた。今後はバカでおっちょこちょいな自分を認め、今出来ることを一所懸命やっていく。

  最近、自分が今まで言葉で逃げてきたことに氣づいた。きれいな言葉を並べその場をうまく取り繕ったり、「いい発言だね」と言われることを求めていたのだと思う。「自分らしく」や「自然体」という言葉を好んで使っていたが、「それって、どういう意味?」と聞かれると分からない。

  「自分はいい人だ」と思い込んでいたのは、23年間人に嫌われるのが嫌で、人の嫌がることは言わず、表面的なつき合いしかしてこなかったからだと氣づいた。都合のいことは受け入れ、不都合なことからは逃げながら「自分は変わりたい、成長したい」と身勝手なことを言っていた自分を反省し、あるがままの自分を知り、逃げない自分をつくっていく。


伊藤塾長のお話

自分を大切にするマナー

  マナーとは単なる礼儀作法を意味するのではなく、その人の考え方、生き方そのものであり、言 ったりやったりすること全 てに現れます。年齢を重ねれば身につくもというものではなく、努力が必要です。

 礼儀の「礼」で一番大事 なものが、相手に対する共 感性を持つことです。

挨拶 をしても共感性がなければ、相手を不愉快にさせます。車を運転する時も共感性があれば、割り込みたがっている人がいたら、少し待って譲ることが出来ます。それが出来ず競り合って渋滞を引き起こし、事故の危険性を高めてしまうのです。交通事情は年々悪くなっています。事故を起こす危険性を少しでも小さくするために、相手に対する共感性を高めましょう。

  本来は「礼儀」と書きますが、考え方としては「義」というとらえ方もあると私は思います。義とは人間としての正しい道、行ないを意味します。何が正しいのかを自分たちで考えてみてください。マナーや礼儀のない人は、自分の都合だけ考え生きているので、年齢を重ねても周りの人から信用を得ることはなく、誰も相手にしてくれなくなります。事故をなくすのも、人間として成長するのも、やることは全く同じことであり、それが自分を大切にすることにつながります。

 もの事が分かる 度合いとマナー

  マナーは「道徳」にもつながります。道徳教育と聞くと、戦後の日本では「古い」「戦前の日本に戻る」と懸念する人がいますが、道徳とは「天道人徳」ということばから来ています。「天道」とは、我々の知識や技術では何ともならない、自然の摂理です。その第一が人間は必ず死ぬということです。

 「人徳」とは、人間としての徳を表し、素直さ、謙虚さ、仁(相手を許容する広さ)、厳、勇氣などです。素直になれば誰もが変化、成長できるのですが、もの事が分からないゆえに、恰好をつけ見栄を張り、不都合なことは拒絶し、横柄になったり横着をするのです。

  これらのことを学んで考え、自分で納得し身につける努力をすることが、マナーを身につけるということです。 

自分の顔に責任を持つ

  第16代アメリカ大統領アブラハム・リンカーンの言葉に「40歳になったら自分の顔に責任を持て」とあります。精神の育成度が低い人は、年齢に関係なく幼ない顔をしています。また、猜疑心の強い人はいつも目をキョロキョロしています。自分が年齢にふさわしい顔をしているかどうか鏡を見てください。顔の骨格の良し悪しではなく、自分の心、マナー、礼儀、道徳をどれだけ理解し、身についているかが表れています。

  人間は過ちを犯す生き物です。「過ちを改めざることを本当の過ちと言う」という言葉の通り、自分の考え方や行動がズレていることを認め、直そうとしないことが本当の過ちです。他人の過ちも自分事としてとらえ、正すことが出来る自分をつくってゆきましょう。

 類は友を呼ぶ?

  『論語』の中で孔子は、付き合ってためになる友が『益者三友』、ためにならない友が『損者三友』であると言っています。

 『益者三友』とは 

@ 剛直な人(強くて素直な人)  

A 誠実な人(裏表が少なく不正をしない人)  

B教養のある人 

『損者三友』とは 

@ 易きにつく人(何でも安易な方、楽な方に流される人。"一味") 

A 人当たりばかりいい人(人に嫌われたくなくて本当のことを言わない人、分からない人。「私は善人だ」と思い込んでいる人) 

B 口先だけが上手い人(「分かりました」「頑張ります」「しっかりやります」が口癖の人)

 誰もが『損者三友』の部分を持っ ていますし、つき合ってはいけないという訳ではありません。お互いに分からないままでは、いくつになってももの事が分かりません。成長したいと思ったら、自分が『益者三友』になる努力と、そういう人を探しつき合うことが必要です。

 今日の話も理屈で言えば簡単なことですが、分かって身につけることが難しいのです。人生をおもしろくしようと思ったら努力し、お互いに協力しあって切磋琢磨して、自分の意志で学び、働ける人間になり、事故の無い働きやすい職場をつくってゆきましょう。


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