4月和合塾定例会 4月5日(水)

伊藤塾長講話   「なぜ学ぶのか 何を学ぶのか」

  私たちの大半が学校での成績があまり良くなかったので、「勉強」と聞くとアレルギー反応を起こしますが、学びは人生の基本です。

どこでどんな仕事をしていても、人生を全うに生きるためには学ぶことが不可欠です。例えば、車の運転はハンドルを握る人の、瞬時の判断と行動にかかっています。自分と他者の生命を守るために、学び、もの事のつながりを分かることが必要です。

当社が経営基本方針の第一項目に「教育立社」を掲げ、社内で勉強会を始めたのも、学ばなければ重大事故を起こす危険性が高いからです。

T.なぜ学ぶのか 「学ぶことの意義」

 1.実社会の中で経済的に生きてゆくための、知識や技術を身に付ける

  今、大宝で働き給料を得ることが出来るのは、学校で国語や算数を勉強したからです。それが出来なければ食べてゆけませんので、最低限のこととして努力します。ところが、社会に出るとそれで一人前だと思い、勉強をしなくなります。  しかし、人間や人生のことが分からず、ただ働いて食べ生きてゆく人生が、本当に楽しいのでしょうか。

そこで、学ぶ意義のもうひとつの側面を考えることが重要になります。

2.自分が人間として生きてゆくための、知識や知恵、考え方を身に付ける

  もの事が分かるとは、相関の関係や循環の関係が分かることです。

 

@ なぜ、皆さんは大宝の社員なのですか?それは大宝という会社が存在しているからです。また、大宝も社員の皆さんがいて、自分と会社のことを大事し、ミスが無いように努力してくれるから、社会に存在出来るのです。

A 家庭の中で、あなたはなぜ夫なのですか?それは妻がいるからです。親子の関係も同じです。

それが相関の関係です。

B 当社には現在、約600名の正社員と、1000名のパートナー社員の方が働いてみえます。正社員の皆さんが、自支店のパートナー社員の方に無関心で、まともな働きかけもせず、結果として定着が悪くなると、人材派遣会社への支払いや募集費がかさみ、自分たちの労働条件を悪くする要因になります。職種を問わず、入社した方が氣持ち良く働くことが出来るように、挨拶や働きかけをしてゆくことが、そこで働く人たちの大切な役割なのです。

 

 このように世の中は全て「もの事」で成り立っています。それが分からなければ、いつも自分の都合だけでイライラし、つまらない顔をしていなければなりません。そして、人に迷惑ばかりかけてしまいます。人間として生き、人の為、社会の為に役立つために、もの事の分かる幅を広げ、深めてゆきましょう。

 

 学びを捨てるのは、人生を捨てることです。大宝には学ぶ場があり、そこで学び変化し、自分の人生を大事にしている人が沢山います。

今日、司会をしている中川支店の上平さんや港支店の榊原さん、濱中さんも、はじめは半ば無理やりでしたが、縁あって学び始め最近、大きく変化しています。今度安全委員になった金山支店の吉本さんや高久さんも同じです。

まともな人間関係がなければ、精神的な快感や達成感は得られません。

 学びの差が出てくるのは10年後、20年後です。その時が来てから後悔しないよう、覚悟が必要です。

これからますます世の中が厳しくなり、私たちを取り巻く条件は悪くなります。親がものが分からないと、子供も困ります。特に小さな子供さんがみえる人は、勉強して下さい。

U.学ぶとは、 幸福を探して作り出すこと

  皆さんの中で、不幸になりたい人はいますか?

誰もいません。しかし今、考え行動していることが不幸の方向に進んでいる人は沢山います。では幸福とは何でしょう。

@ 経済的な幸せ 

A 精神的な幸せ 

B 肉体的な幸せ

 この3つがバランスよくとれな いと、本当の幸福はありません。健康もお金も生きてゆく上で大事です。しかし、人間はそれだけでは幸福になれません。

先回お話したように、肉体的快感、物的快感には限りがあるからです。また、@Bの問題のバランスをとるのが、Aのもととなる「精神」です。

精神(魂)とは、ものを考え行動する時、核になるものです。

V.何を学ぶのか 

1.自分自身の考え方、行動に対して疑問を持てる能力を持つ

  もの事がうまくいかない時、原因(本質)が何かを見つけ出すために、前向きな姿勢で「なぜ?」と考えることが必要です。そう考えることが出来る人は頭のいい人です。そして、正しい疑問を持つことが、その人を成長させます。

 その時、いつも「自分はいい人」で、「こんなに頑張っているのに・・・」という思い込みが強いと、事実を客観的に捉えることが出来なくなります。

そうなると自分に対する疑問ではなく、相手を疑い責任転嫁をします。

そうやって猜疑心が強くなると、自己保身が強くなり、自分で頭の中に作り出した「オバケ」に怯え、恐怖心が強くなり、最後は墓穴を掘ってゆきます。

  「なぜ?」を考える時、それが「疑問」なのか、「猜疑」や「恐怖」なのかを、一度仕分けしてみて下さい。

2.人生は縁によって成り立っていること、そして、最後は自分の選択によって決まることを知る

  縁とは様々な関係です。私は三〇年前に大宝にお世話になり、勉強会を始めました。当時は役員や管理者からも、「勉強して何になるんだ」といじめらました。しかし、変化成長する人の足を引っ張る人が、自分の人生に責任をとってくれる訳ではありません。学ぶことには貪欲であって下さい。

3.全ては無常であることを知る

  無常とは常が無いこと、つまり世の中の全てのものが変化し続けるということです。地球もあと五〇憶年すると消滅すると言われています。一日過ぎれば一日歳をとります。私たちの肉体も常が無いのです。

  だから、好きなことをして刹那に生きるのではなく、そういうことを分かった上で、与えられた人生を、どう楽しく生きるかを学ぶのです。

4.人間は誰もが阿呆で強欲で小心であることを知る

  誰もがものが分からず、欲深くて小心です。そのままでは人に迷惑をかけるばかりで、周りにまともな人が集まって来てくれません。

まずはこの事実を認め、日常の考え方や行動を通して、具体的に把握し活かすことが学びです。

  人類が生き延びたのは小心さがあったからです。また、小心で強欲ゆえに人間は考え、文明が発達しました。しかし、小心のまま強く見せようとすると、突っ張り、ごまかして逃げなければならなくなります。

自分の小心さを認め、どうしたらいいかを考え「細心」に変えると、勇氣が生まれてきます。それを作るために学ぶのです。

5.世の中には色々な考え方があることを知り、自分で考える

  どちらかが100%正しいということも、間違っているということもありません。一面ではなく多面的にもの事を捉え、考える訓練をしましょう。

6.「考える力」にはレベルがある

  学び考え、努力した分だけ、考え方のレベルが高くなり、色々なものが見えてくるので、同じ事をしていても面白さが変わってきます。

  同じ言葉を発しても、中身や相手に伝わるものが違うのは、使っている人のレベルの違いです。自分よりもレベルが高い人がいるということを認め、努力することが学びです。

 

 以上のことを学び、身に付ける努力が必要です。

言葉を覚えるだけでなく、自分で考え、「やってみよ」と言われたことをやる人は成長し、少しでも幸せに近づくことが出来ます。

その努力をせず、「成長したい」「実績が欲しい」「幸せになりたい」と言っても不可能です。

  強欲で努力せず果実だけ欲しがる人や、人に頼り甘えてぶらさがり、良い思いだけしたいという、さもしい人が今の世の中にはいっぱいいます。

せめて大宝で働く私たちは、学び一人ひとりが意識し努力することによって、さわやかで良い人間関係を作り、もっと面白い人生、会社にしてゆきましょう。


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