12月和合塾定例会 12月5日(水

12月和合塾 定例会

【テーマ】 伊藤塾長講話

自分の価値観をつくろう

 年号が平成に改まり丸19年が経とうとしています。

毎年のことながら、時間の経過の早さを感じます。先日、車輌部の皆さんが、運動会の時に作った「日本一大きいブーメラン」と共にテレビに映っていました。

あれも大宝の面白さだと思います。

 今年最後の定例会では、価値観について話します。

私たちは意識する、しないは別として、何らかの価値観に基づいてものを考え、行動しています。その結果として現在があります。

価値観は目には見えない「人生の羅針盤」です。これがないと、自分がどちらに向かって歩いているのかも分かりません。その価値観は年齢とともに身につくというものではなく、自分で考え、つくるしかありません。

 私が皆さんに「学べ」と言うのは、人生の中で最も大事な価値観をつくって欲しいからです。社員の皆さんがいくら業務をミス無く一所懸命やってくれても、自分が幸せだと感じられなければ、会社のエゴになってしまいます。

1.価値観が人生をつくる

 誰もが毎日、自分の命をかけて人生をやっています。そう考えたことはありますか?明確な価値観を持っていなければ、そう思うこともありません。この「命をかけて人生をやっている」というのも、自分に対する価値観の一つであり、最も自覚しなければならないことです。その自覚がないと、生きていることが当たり前になってしまいます。

 来年で和合塾は25周年、泡影塾は30周年を迎えます。

企業の勉強会としては珍しいと思います。この間、私は1000回以上講義をしています。自分の価値観に基づいていなければ、継続することは出来ません。何かを成し遂げるには、絶対に価値観が必要です。一つのことも継続できないのは、価値観がないからです。

 植物が育つには、土の中の水や養分を吸い上げる根っ子が必要です。価値観は、この根っ子と同じです。知識としてものを知っていて、人に言われたことはできたとしても、価値観がなければ本当の意味での成長はなく長続きしません。仕事や人間関係、人生がうまくいかないと感じている人は、根っ子がないか、あっても腐っているかズレているはずです。

これから人生を面白くしようと思ったら、根っ子をつくりましょう。

2.何を見直し考えるのか

 経営学習会に参加した人は、「経営の5課題」を思い出してください。個人も家庭も、企業、地方自治体、国、世界も全て経営を行なっています。

人間や社会が幸せになるための経営を行なうために、5つの課題があります。

《経営の五課題》 

@ 持つべき価値観

A 組織課題 

B 何をやるか(戦略) 

C どのようにやるか(戦術)

D 将来あるべき姿 (結果として何を得るのか)

 最初にくるのが価値観です。それほど重要なものだということを、まず理解してください。それでは具体的に考えてゆきましょう。

 (1)  「なんとなく・・・」は、考え方の根っ子がない証拠

 経営してゆく時に使う7つの資源を、「経営の7」と言います。

英語で表した時、すべてに「」がつくため、こう呼ばれます。

《経営=7Mの総合効率》 

@ 人(AN)

A もの(ATERIAL)

B 金(ONEY)

C 時間(TIE)

D 空間(ROO

E 情報(INFORATION)

F 方法(ETHOD)

  これらに対して、自分がどういう考え方を持っているのか、その考え方の集合体を価値観と言います。最も大切な人間に関しては、「人間とは何か」「人生とは何か」「命とは何か」などがあります。

  生物学的分類では、人間は「ヒト科の動物」です。本能のままであればエゴ100%で、あるのは自分の欲望を満たすことのみです。人に対する関心も配慮も共感、愛情もなく、相手から奪うことばかりです。「それでは嫌だ、人から奪うよりも与える方が良い」というのが、私の価値観です。ヒト科の動物から人間になるためには、学ぶしかありません。

 人生の基本は四苦八苦(生老病死、愛別離苦、求不得苦、怨憎会苦、五蘊盛苦)です。その上にまた、「阿呆、強欲、小心」という荷物を乗せ、そこから生まれる「嫉妬心、劣等感、猜疑心」、さらに「抑圧、放任、渇愛による束縛」という苦労の種を自ら積み上げているのが人間です。

 ベースにある四苦八苦からは、誰も逃げることは出来ません。しかし、それ以外のものは自分が学んで分かり、努力すれば、その苦を少しでも軽くすることが出来ます。それが人生を楽しくするということだと私は考えます。人生を楽しく、広く深いものにしてゆこうと思ったら、学び続けてください。

 

(2) モノやお金の活かし方

 何か嫌なことがあった時、「もう、どうでもいいや」と人生を投げてしまうのは、命の大切さが分からない人です。モノは私たち人間に利便性を与えます。また、その一方で非常に大きなリスク(危険性)をはらんでいます。例えば鋭い刃物を、医者が手術のために使えば、患者の命を救います。その刃物を強盗が使えば、人の命を奪うこともあります。モノは使う人のレベル(ものの考え方、価値観)によって、プラスにもマイナスにもなるのです。私たちが仕事で使うトラックも同じです。

  誰もがお金を稼ぐために働いています。その給料は自分にとって「目的」ですか?「結果」ですか?大半が目的になってしまうため、いっしょうけんめいやっているフリをして10分でも後にタイムカードを押し、多少ごまかしてでも給料を増やそうとしてしまいます。自分がやったことの結果だと思えば、実際に終わった時点で押すことができます。結果として給料が増えるようにするためには、学んで次元を上げる努力をするしかありません。この様に「金」「働く」ということに対する価値観が違えば、考え方も行動も全く変わってきます。

  お金の使い方はどうでしょう。みんな肉体の成長に必要な栄養素(食事)を欠かすことはありません。それでは精神を育成するための読書などに、いくら使っていますか?人間は肉体と精神の整合体であると考えると、もっと精神を鍛えるための学びにお金を使ってもいいはずです。

  お金で幸せを買うことが出来ると思いますか?大きな家、高級車など欲しいものを手に入れた時は、幸せだと思うかもしれません。しかし、物欲だけを満たそうとするときりがありません。今日食事をするお金もないというのは困りますが、お金で本当の幸せを買うことは出来ません。

3. 日々の努力の積み重ねが、明確な価値観をつくり、人生を豊かにする

 価値観を身につけてゆくためには、修業と修行が必要です。修業とは、もの事を論理として学ぶため、言葉や概念、様々な原理原則を知識として知ることです。それらを覚え、考え続けることによって、論理的なつながりが分かってきます。

 次に日々の実践を通し、「なるほどなぁ」と思えるまで自分の心に落とし込み、身につけ、自分の価値観にしてゆくことを修行と言います。その2つを行なうことが、人間性を高める本当の学びです。

 皆さんとは縁あって大宝で出会い、和合塾でこうして一緒に学んでいます。少しでも変化、成長し、幸せになってくれることを願っています。もの事が分かることには、年齢も立場も関係ありません。真面目に考え、実践し続けた人だけが変化します。人生は楽しいことばかりではありません。苦しいこと、悲しいこともたくさんあります。だからこそ学び、自ら楽しさをつくり出してゆける力をつけましょう。一年間ありがとうございました。


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